📖 音楽コラム!

ギターのピックアップ配列とは?シングル・ハムバッカーの組み合わせを解説

ギター 2026.10.24 公開

エレキギターを選ぶ際、「SSS」や「HH」「SSH」といった英アルファベットの並びを目にしたことはないでしょうか。

これらは「ピックアップ配列(レイアウト)」と呼ばれ、ギターのサウンドキャラクターや演奏できる音楽ジャンルを決定づける極めて重要な要素です。

ピックアップはエレキギターにおける「マイク」の役割を果たしており、どの位置にどんなタイプのピックアップが搭載されているかによって、出力される音色やノイズの少なさ、歪ませたときの音圧が劇的に変化します。

この記事では、シングルコイルとハムバッカーの基礎知識から、代表的なピックアップ配列の特徴、自分にぴったりのギターを見つけるための選び方まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。

ピックアップの基本構造:シングルコイルとハムバッカーの違い

ピックアップ配列を理解するには、まず基本となる2つのピックアップ構造(シングルコイルとハムバッカー)の特性を知る必要があります。

それぞれの長所と短所を把握することで、組み合わせによるシナジーが理解しやすくなります。

1. シングルコイルの特徴

シングルコイルは、1つのボビン(芯)に磁石とコイルを巻き付けた伝統的な構造のピックアップです。
主にフェンダー社のストラトキャスターやテレキャスターなどに多く採用されています。

  • サウンド:高域が煌びやかで立ち上がりが速く、繊細なニュアンスを余すところなく表現できるクリスピーなトーン。
  • 得意なプレイ:カッティング、アルペジオ、クランチサウンドでのコードストローク。
  • 弱点:構造上、照明やアンプなどの外部ノイズ(ハムノイズ)を拾いやすく、ハイゲイン(強い歪み)に設定するとノイズが目立ちやすい。

2. ハムバッカーの特徴

ハムバッカー(Humbucker)は、2つのシングルコイルを逆位相・逆極性で並べた構造のピックアップです。
「ハム(ノイズ)をバック(打ち消す)」という名の通り、ノイズを相殺する目的でギブソン社によって開発されました。

主にレスポールやSGなどに搭載されています。

  • サウンド:太く温かみがあり、中低域が豊かでサステイン(音の伸び)に優れている。
  • 得意なプレイ:重厚なリフ、サステインを活かしたギターソロ、ハードロックやメタルのディストーションサウンド、ウォームなジャズトーン。
  • 弱点:高音域のアタック感がシングルコイルに比べて丸くなりやすく、カッティングなどで抜けが鈍く感じられる場合がある。

補足:P-90タイプなどの特殊なピックアップ

シングルコイルとハムバッカーの中間に位置する存在として「P-90」があります。
幅広のボビンにコイルを多く巻いたシングルコイルで、シングルならではのエッジ感と、ハムバッカーに近い太い中音域を兼ね備えた独特の粘り強いトーンが魅力です。

代表的なピックアップ配列とその特徴

ギターには「ネック(フロント)」「センター(ミドル)」「ブリッジ(リア)」というポジションがあり、どの位置にどのピックアップを配置するかで多彩なバリエーションが生まれます。

ここでは代表的な配列を解説します。

S-S-S(3シングルコイル)

フェンダー・ストラトキャスターに代表される、もっとも普遍的な配列です。
ネック・センター・ブリッジの3箇所にシングルコイルが配置されています。

この配列の最大の武器は「ハーフトーン」と呼ばれるサウンドです。
5WAYセレクターによって「ネック+センター」または「センター+ブリッジ」を並列で鳴らすことで、高域が美しく抜ける独特の鈴鳴りトーンが得られます。

ポップス、ファンク、ブルース、ネオソウルなど、抜けの良いクリーン〜クランチを多用するプレイヤーに最適です。

H-H(2ハムバッカー)

ギブソン・レスポールやPRS(ポール・リード・スミス)などに代表される配列です。
ネック側とブリッジ側に1基ずつハムバッカーがマウントされています。

ネック側では太く甘いリードトーンやジャズサウンドを、ブリッジ側ではエッジの効いた力強いディストーションサウンドを生み出します。
大音量で深く歪ませてもノイズが少なく、ハードロック、ヘヴィメタル、パンクなどのラウド系ジャンルでは標準的なレイアウトとなっています。

S-S(2シングルコイル)

フェンダー・テレキャスターに代表されるシンプルな構成です。
フロントには小型のシングルコイル(金属カバー付き)、リアには金属プレート上に設置された大型のシングルコイルが搭載されています。

リアポジションの金属的でアタックの強い鋭いサウンドは、カントリーやガレージロック、邦楽ロックのバッキングギターなどで絶大な存在感を放ちます。
センターポジション(両方のミックス)の歯切れの良さも特筆すべき点です。

S-S-H / H-S-S(シングル・シングル・ハム)

近年、スタジオミュージシャンやオールラウンド系ギタリストから絶大な支持を集めているのがこのレイアウトです。
フロントとセンターにシングルコイル、リアにハムバッカーを搭載しています。

ストラトキャスターの弱点である「リア単体の音が細く、ハイゲイン時にノイズが多い」という点を克服しており、バッキングやカッティングはシングルコイルの繊細さを活かし、サビのリフやソロではリアのハムバッカーで太く力強く歪ませる、といった万能なプレイスタイルが1本で完結します。

H-S-H(ハム・シングル・ハム)

アイバニーズ(Ibanez)などのテクニカル系・HR/HM向けギターに多く見られる構成です。
フロントとリアにパワフルなハムバッカーを配しつつ、センターにシングルコイルを配置しています。

メタルやプログレッシブロックのような重厚なリフ・速弾きソロをカバーしつつ、セレクター操作によってシングルとのハーフトーンを作り出せるため、クリアなアルペジオパートにも即座に対応できます。

ジャンルを越境して音色のバリエーションを求めるプレイヤーに重宝されます。

1H / 1S(1ピックアップ仕様)

リアポジションにピックアップを1基のみ搭載した潔いモデル(エディ・ヴァン・ヘイレンモデルのギターやレスポール・ジュニアなど)です。

スイッチの切り替えができない反面、配線が極めてシンプルになるため信号のロスが少なく、ピックアップの磁力が弦の振動を邪魔しないことから、ピュアでダイナミックな鳴りが得られます。
潔いロックンロールやパンクを演奏するギタリストに根強い愛好家が存在します。

ピックアップ配列と音楽ジャンルの相性一覧

どの配列がどのジャンルに適しているのかを一目で比較できるよう、相性を整理しました。

ギター選びの指針として活用してください。

配列得意なサウンド適したジャンルおすすめのプレイヤー像
S-S-S繊細、ブライト、鈴鳴りポップス、ファンク、ブルース、カントリーカッティングやニュアンス重視のプレイを好む人
H-H太い、粘り、ロングサステインハードロック、メタル、ジャズ、グランジ深く歪ませたリフや甘いソロを弾きたい人
S-Sトゥワンギー、歯切れが良いガレージロック、邦ロック、インディーズ、ブルースコードバッキングのキレを最重要視する人
S-S-H万能、クリア〜ヘヴィまで対応フュージョン、スタジオ系、モダンポップス全般1本で幅広いジャンルを弾きこなしたい人
H-S-Hハイパワー、多彩なトーンHR/HM、テクニカル、プログレ速弾きやハードな楽曲をメインにしつつ音色数も欲しい人

後悔しないピックアップ配列の選び方

見た目の好みだけでなく、自身のプレイスタイルや用途に合わせたピックアップ配列を選ぶための実践的なポイントを紹介します。

1. 歪み(ゲイン)の深さで決める

演奏したい楽曲でどれくらいアンプを歪ませるかが最大の判断基準になります。
オーバードライブやクランチ程度の軽い歪みがメインならシングルコイル(S-S-SやS-S)の抜けの良さが活きます。

一方、メタルやラウドロックのようにディストーションを深くかけるなら、ノイズ耐性の高いハムバッカー(H-HやH-S-H)が必須レベルで有利になります。

2. コイルタップ機能の有無を考慮する

「ハムバッカーの太い音も欲しいが、シングルコイルの繊細な音も捨てがたい」と悩む場合は、「コイルタップ機能」が搭載されたギターを検討してください。

コイルタップとは、ハムバッカーの片方のコイルを電気的にカットし、擬似的にシングルコイルのサウンドを出力するスイッチ機能です。
本物のシングルコイルと完全に同一の音にはならないものの、1本のギターで幅広い音色をカバーできる実用的な機能として非常に人気があります。

3. 最初の一本に迷ったら「S-S-H」がおすすめ

やりたい音楽ジャンルが定まっていない初心者や、バンドで多種多様なカバー曲を演奏する予定がある方には、リアにハムバッカーを配した「S-S-H」構成を強くおすすめします。

煌びやかなクリーントーンからハードなリードサウンドまで無理なくこなせるため、曲ごとにギターを持ち替える必要がなく、音作りの基礎を学ぶのにも最適な配列です。

※本サイトはアフィリエイトプログラムにより収益を得ている場合があります。

ピックアップ配列に関するよくある質問(FAQ)

Q. 購入後にピックアップ配列を変更することはできますか?

可能です。ただし、ボディ木部の加工が必要になるケースがあります。
例えば、元々シングルコイル用の溝しか掘られていないボディにハムバッカーを搭載する場合、木部をルーターなどで削る「ザグリ加工」を行わなければなりません。
また、ピックガードの交換や配線の引き直しが必要となるため、リペアショップに依頼するのが一般的です。

なお、シングルコイルのサイズに収まるように設計された「シングルサイズ・ハムバッカー」を用いれば、ボディを削らずにハムバッカーサウンドへモディファイすることができます。

Q. ピックアップのポジションによる音の違いはどうして生じるのですか?

弦の振動幅の違いによるものです。弦の中心に近い「ネック側」は弦が大きく振動するため、低域が豊かで丸みのある太い音になります。
一方、弦の端(ブリッジ)に近い「ブリッジ側」は弦の振幅が小さく硬いため、高音域が際立ったシャープでタイトな音になります。

同じピックアップであっても、マウントする位置によって音の傾向が大きく変わります。

まとめ

ギターのピックアップ配列は、楽器の外観を特徴づけるだけでなく、出せるサウンドのキャラクターを左右する決定的な要素です。

  • S-S-S / S-S:抜けの良い高域とニュアンス表現に優れ、クリーン〜クランチ向き
  • H-H:太く温かみのある中低域と優れたノイズ耐性を持ち、ハイゲインやジャズ向き
  • S-S-H / H-S-H:両者の長所を組み合わせた、ジャンルレスに活躍できる万能構成

自分がどのような音を出したいのか、どんなギタリストのサウンドに憧れているのかをイメージしながらピックアップ配列に注目してみると、理想の1本がぐっと見つけやすくなります。

ぜひ楽器店で異なる配列のギターを試奏し、それぞれのトーンの違いを肌で体感してみてください。