重厚なリフやDjent(ジェント)、モダンメタルサウンドを奏でるために欠かせない「7弦ギター」。
近年ではラウドロックだけでなく、プログレッシブ・ロックやジャズ、ポップスのバッキングなど、幅広いジャンルで7弦ギターを取り入れるプレイヤーが増加しています。
しかし、一般的な6弦ギターと比べて弦が1本増えることで、「ネックが太くて弾きにくいのではないか」「どのようなスペックを選べば後悔しないのか」と購入をためらっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初めて7弦ギターの導入を検討している初心者に向けて、7弦ギターの特徴や6弦との違い、失敗しない選び方の基準をわかりやすく解説します。
さらに、コストパフォーマンスに優れた入門機から長く使える定番モデルまで、厳選したおすすめギターをご紹介します。
自分にぴったりの1本を見つけて、新たな低音の世界へと踏み出しましょう。
7弦ギターとは?基本スペックと6弦ギターとの違い

7弦ギターとは、一般的な6弦ギターに低音弦が1本追加されたエレキギターのことです。
まずは、構造やチューニングの基本、6弦ギターとどのような点が異なるのかを整理しておきましょう。
チューニングと音域の違い
7弦ギターの標準的なレギュラーチューニングは、細い1弦側から順に
「1弦:E / 2弦:B / 3弦:G / 4弦:D / 5弦:A / 6弦:E / 7弦:B」となります。
つまり、6弦ギターのレギュラーチューニングの低音側に、完全4度低い「Low-B(B1)」がそのまま1本足された構成です。
6弦ギターでここまでの低音を出そうとすると、全弦を2音半下げるか極端なドロップチューニングが必要となり、高音域のソロや通常のコードフォームが使いにくくなります。
一方、7弦ギターであれば1〜6弦の演奏性はそのままに、7弦を用いるだけで重厚な低音リフやワイドレンジなアルペジオを鳴らせる点が最大の構造的アドバンテージです。
ネック幅とスケール(弦長)の違い
弦が1本増えるため、指板およびネックの幅は6弦ギターよりも広くなります。
ナット幅で比較すると、一般的な6弦ギターが約42mm〜43mmであるのに対し、7弦ギターは約48mm前後が標準です。
手の小さい人や握り込みスタイル(シェイクハンド)で弾く人は、最初は指の届きにくさを感じる場合があります。
また、スケール(ナットからブリッジまでの弦長)にも違いが見られます。
6弦ギターの標準であるロングスケール(25.5インチ / 約648mm)を採用したモデルも多いですが、太い7弦のテンション(張り)を確保し、音の輪郭をぼやけさせないために、26.5インチや27インチといった「スーパーロングスケール(エクストラロングスケール)」を採用しているモデルも多数存在します。
初心者が知っておくべき7弦ギターのメリット・デメリット

7弦ギターには独自の魅力がある反面、演奏性において特有の課題も存在します。
購入後にギャップを感じないよう、メリットとデメリットの双方を把握しておきましょう。
メリット:チューニング変更なしで重低音と高音域を両立
- 圧倒的な重低音を手軽に鳴らせる:弦のテンションを極端に落とすことなく、引き締まったヘヴィなリフを刻むことができます。
- コードフォームやソロの選択肢が広がる:6弦レギュラーのポジションをそのまま維持できるため、通常のバッキングからシームレスに重低音へ移行できます。
- ドロップAチューニングへの対応力:7弦のみを1音下げて「A」にする「ドロップA」にすれば、指1本でヘヴィなパワーコードを押さえるモダンなリフワークも容易になります。
デメリット:ネックの太さと余弦ミュートの難易度
- ネックの厚み・幅への慣れが必要:幅広ネックに慣れるまでは、親指の位置をネック裏の中央に置くクラシックスタイルが求められ、手首への負担を感じることがあります。
- ミュート(消音)の難しさ:低音弦が増えることで、弾いていない弦が共鳴しやすくなります。右手の手刀部分や左手の腹を使った確実な余弦ミュートを習得しないと、ノイズ混じりの濁った音になってしまいます。
- 弦や消耗品の選択肢と価格:楽器店での7弦セットの取り扱いが6弦に比べて少なく、セット弦の価格もやや割高になります。
失敗しない7弦ギターの選び方|5つの重要チェックポイント
ひとくちに7弦ギターといっても、ネックの長さやブリッジ構造、搭載ピックアップによって演奏感やサウンド傾向は大きく異なります。
初心者が後悔しないための選び方のポイントを5つに分けて解説します。
1. スケール(弦長)の選択
スケール長は演奏性と低音弦の鳴りに直結する最重要ポイントです。
- 25.5インチ(レギュラースケール):ストラトキャスターなどと同じ長さです。フレット間の幅が普段通りで弾きやすく、6弦ギターからの持ち替えがスムーズです。ただし、7弦のチューニングをさらに下げる場合、弦の太さを上げないとテンションが緩くなりやすい傾向があります。
- 26.5インチ〜27インチ(スーパーロングスケール):7弦のテンションがしっかり保たれ、ピッキングに対するアタック感とクリアな低音が得られます。ダウンチューニングを多用するモダンメタル志向の方に最適です。
- マルチスケール(ファンドフレット):低音弦側を長く、高音弦側を短く設定し、フレットを扇状に配置した設計です。各弦に理想的なテンションを与えつつ弾きやすさも追求されていますが、価格帯が高めで見た目のクセも強くなります。
2. ブリッジのタイプ(固定式 vs トレモロ)
初心者には、弦高調整やチューニングが容易な「フィクスド(固定式・ハードテイル)ブリッジ」を強くおすすめします。
フロイドローズなどのロック式トレモロユニットは、激しいアーミングをしても狂いにくい利点がありますが、弦交換やオクターブ調整の手間が格段に増えます。
特に弦が1本多い7弦では弦張力のバランス取りがシビアになるため、まずはメンテナンスがシンプルでダウンチューニングもしやすい固定式ブリッジを選ぶのが安心です。
3. ピックアップの種類(パッシブ vs アクティブ)
7弦特有の重低音をアンプでどうアウトプットするかは、ピックアップの特性に左右されます。
- パッシブピックアップ:電池不要で、ピッキングの強弱やニュアンスがダイレクトに出ます。温かみのあるトーンから歯切れの良いサウンドまで、幅広い表現に対応します。
- アクティブピックアップ(EMG、Fishman Fluenceなど):9V電池でプリアンプを駆動させます。ハイゲインに歪ませてもノイズが極めて少なく、低音弦が濁らずにタイトに抜けるため、モダンメタルやプログレッシブ系プレイヤーから絶大な支持を得ています。
4. ネックの薄さとグリップ形状
7弦のネック幅に不安がある方は、ネックが極限まで薄く成形されたモデルを選ぶと弾きやすさが格段に向上します。
例えば、Ibanez(アイバニーズ)の「Wizard」ネックなどは薄型ネックの代表格で、手の小さいプレイヤーでも無理なく指が届きやすい設計になっています。
一方である程度グリップ感を好む方は、適度な丸みを持つCシェイプを採用したブランドを検討すると良いでしょう。
5. 予算と信頼できるブランド
7弦ギターはネックの反りに対する強度や、低音弦のピッチ精度がシビアに問われる楽器です。
あまりに安価なノーブランド品はチューニングが安定しなかったり、フレット処理が粗かったりすることがあります。
初心者の場合は実売価格5万円〜15万円前後を目安に、7弦ギターの製造ノウハウが豊富な実績あるブランドを選ぶのが確実です。
初心者におすすめの7弦ギターモデル
ここからは、コストパフォーマンス、演奏性、サウンドクオリティのバランスが取れた初心者におすすめの7弦ギターをご紹介します。
Ibanez(アイバニーズ) / RG7421PB

7弦ギターのパイオニアであるIbanezのスタンダードなエントリー〜ミドルクラスモデルです。
薄型で握りやすいWizard II-7ネックを採用しており、初めて7弦に触れる方でも違和感なくフィンガリングを行えます。
- スケール:25.5インチ(ロングスケール)
- ブリッジ:フィクスドブリッジ
- 特徴:エキゾチックなポプラバールトップの美しい外観と、癖のないパッシブPUによる扱いやすい出音。コストパフォーマンス抜群の1本です。
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Schecter(シェクター) / Omen Extreme-7

ラウドロックシーンで絶大な人気を誇るSchecterの定番7弦モデルです。
マホガニーバックにキルトメイプルトップを配した高級感あるルックスと、26.5インチのスーパーロングスケールが特徴です。
- スケール:26.5インチ
- ブリッジ:裏通しタイプのチューン・O・マチック方式
- 特徴:やや長めのスケールにより、7弦のLow-Bでも芯のあるタイトなアタックを実現。コイルタップ機能も備えており、シングルコイル風のクリアなトーンも出力可能です。
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Ibanez / RG7421EX

Ibanezの定番7弦ギター「RG」シリーズから選ぶなら、RG7421EXは扱いやすいモデルです。
25.5インチのスケールに、7弦用のWizard II-7ネック、Quantum 7ピックアップ、F107ハードテイルブリッジを搭載しています。メーカー公式価格は121,000円(税込)です。
- スケール:25.5インチ
- ピックアップ:Quantum 7
- ブリッジ:F107
- フレット:24フレット
- 特徴:Ibanezらしい薄めのネックと扱いやすい仕様。7弦ギターを初めて購入する場合にも検討しやすいモデルです。
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Ibanez / RGD71ALMS

より低音域を重視したモダンな7弦ギターなら、RGD71ALMSがあります。
27インチから25.5インチのマルチスケールを採用し、Fishman Fluence Modernを搭載。メーカー公式価格は236,500円(税込)です。
- スケール:27~25.5インチ マルチスケール
- ピックアップ:Fishman Fluence Modern
- ブリッジ:Mono-Rail
- フレット:24フレット
- 特徴:低音弦のテンションを確保しやすく、ダウンチューニングやモダンメタルにも対応しやすい仕様です。
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Schecter / C-7 Apocalypse

Schecterの7弦モデルでは「C-7 Apocalypse」も候補になります。
26.5インチスケール、24フレット、ステンレス製X-Jumboフレット、Hipshotハードテイルブリッジなどを採用しています。
- スケール:26.5インチ
- フレット:24フレット
- ブリッジ:Hipshot Hardtail
- ネック:Thin “C”
- 特徴:標準的な25.5インチより長い26.5インチスケールを採用し、7弦の低音を意識した設計です。
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Schecter / C-7 SLS Elite Evil Twin

さらに上位のモダン系モデルとしては、C-7 SLS Elite Evil Twinがあります。
26.5インチスケール、24フレットのステンレス製X-Jumboフレット、Hipshotハードテイルを採用し、Fishman Fluence Modernも搭載しています。
- スケール:26.5インチ
- ピックアップ:Fishman Fluence Modern
- ブリッジ:Hipshot Hardtail
- フレット:24フレット
- 特徴:薄型ネックと高スペックなハードウェアを組み合わせたモダン系7弦ギターです。
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7弦ギター導入時の注意点とセッティングのコツ
7弦ギターを手に入れた後、快適に演奏を続けるために知っておくべき周辺知識をまとめました。
適切な弦の太さ(ゲージ)選び
7弦ギターの定番ゲージは「09-54」または「10-59」や「10-62」あたりです。
25.5インチスケールでレギュラーチューニング(Low-B)にする場合は、7弦が56〜59程度あると弦がビビりにくくなります。
さらにドロップAなどへ下げる予定があるなら、7弦のみ62〜64といった太いゲージを選ぶと十分なテンション感が得られます。
アンプやエフェクターの音作り(ローカットの意識)
7弦ギターの低音はアンプから非常にエネルギーの高い信号として出力されるため、6弦ギターと同じセッティングのまま歪ませると、音がモコモコと潰れてアンサンブルで抜けなくなります。
ポイントは「低音(Bass)を上げすぎないこと」と「歪みエフェクターの前段で適度に低域をカットすること」です。
オーバードライブペダル(TS系など)を歪みアンプの前にブースターとして噛ませ、Driveをゼロ、Toneを適度に上げて低音を引き締めると、タイトでキレのあるヘヴィリフが作れます。
初心者がつまずきやすいポイントと練習のコツ
7弦ギターを弾き始めた初心者が最も直面しやすいのが「視覚的なズレ」です。
ネックを見下ろしたときに最も手前にある太い弦が「6弦(E)」ではなく「7弦(B)」になるため、いつもの癖で7弦をルートにしてメジャー/マイナーコードを押さえてしまい、不協和音になるというミスが多発します。
- まずは1〜6弦だけで弾いてみる:7弦ギターを構えつつ、あえて7弦を親指などでミュートした状態で、いつも弾いている6弦ギターのフレーズを弾いて指板の位置関係に目を慣らします。
- オクターブ奏法で7弦と5弦の関連を覚える:7弦の音階感覚を掴むため、7弦と5弦を使ったオクターブ奏法でスケールをなぞる練習を行うと、低音側の音名把握が早くなります。
- 右手の余弦ミュートを徹底する:ピックが7弦や6弦に当たらないように弾くのではなく、弾いていない弦には常に右手の平(パーム)を軽く触れさせておく習慣を付けましょう。
まとめ
7弦ギターは単なる「弦が増えただけのギター」ではなく、ダウンチューニングでは再現できない高音域の演奏性を維持したまま、重低音のリフワークを可能にする表現力豊かな楽器です。
初心者の方が最初の1本を選ぶ際は、以下のポイントを意識すると失敗が少なくなります。
- メンテナンスが簡単なフィクスド(固定式)ブリッジを選ぶ
- チューニング安定性とテンションを考慮し、25.5〜26.5インチ前後のスケールを基準にする
- 演奏性を重視して、握りやすい薄型ネックのモデル(IbanezやSchecterなど)を検討する
最初はネックの幅や弦の多さに戸惑うかもしれませんが、一度操作に慣れてしまえば、これまでの6弦ギターでは味わえなかった圧倒的なヘヴィトーンと広がりのあるコードワークを自在に操れるようになります。
ぜひ本記事を参考に自分に合った7弦ギターを選び、重低音の世界を思い切り楽しんでください。