ジャズやアコースティック編成の楽曲、ローファイ・ヒップホップなどで欠かせない楽器といえば「ウッドベース(コントラバス、アップライトベース)」です。
しかし、打ち込み音源で生々しい木の鳴りや弦の擦れるニュアンス、独特の太いアタック感を再現するのは容易ではありません。
そこでおすすめしたいのが、リアルな弦楽器音源の開発に定評があるAmple Sound社の「AMPLE BASS UPRIGHT(ABU)」です。
本記事では、AMPLE BASS UPRIGHTの特徴やサウンドの魅力、制作で役立つ機能まで詳しく解説します。高品質なアコースティックベース音源を探しているDTMerの方は、ぜひ参考にしてください。
Ample Sound AMPLE BASS UPRIGHT(ABU)とは?

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AMPLE BASS UPRIGHT(製品略称:ABU)は、中国のプラグインメーカー「Ample Sound」がリリースしているアコースティックベース音源です。
同社はギター音源やエレキベース音源で世界的な評価を得ていますが、その緻密なサンプリング技術と独自エンジンをアップライトベースに注ぎ込んだのが本作です。
実機の豊かな響きを徹底サンプリング
ABUは、プロユースのスタジオにて厳選されたアップライトベースの実機をサンプリングしています。
弦の振動だけでなく、楽器本体の大きな共鳴胴(ボディ)が響く低域のディープな質感まで余すところなく収録されているのが大きな特徴です。
単音を鳴らしただけでも、安価なシンセベースや一般的な総合音源に含まれるウッドベースとは一線を画す、芯のある太いアコースティックトーンを響かせてくれます。
AMPLE BASS UPRIGHTの主な特徴と魅力
多くのクリエイターから支持されている背景には、サウンドの良さだけでなく、リアルな演奏を再現するための多彩な機能が揃っている点にあります。
ここでは代表的な4つの特徴を紹介します。
1. 4つのマイクポジションによる立体的なサウンドメイク
ABUの最大の強みの一つが、マイキングの柔軟性です。
ボディの鳴りを捉えるマイク、ネック側のフィンガーノイズを拾うマイク、ステレオアンビエンスマイク、そして内蔵ピエゾピックアップの出力を個別にコントロールできます。
- マイクチャンネル:胴鳴りの温かさや空気感を付加し、アコースティック特有の臨場感を演出
- ピックアップチャンネル:輪郭のはっきりしたアタック感と明確な音程感を提供
これらをミキサー画面でブレンドすることで、「モダンでタイトな輪郭のある音」から「クラシックやオールドジャズのような空気感をまとった深い音」まで、楽曲の方向性に合わせた音色調整が直感的に行えます。
2. リアルな奏法を網羅する豊富なアーティキュレーション
アップライトベース特有の表情豊かな演奏を再現するため、キースイッチによって切り替え可能なアーティキュレーションが充実しています。
- サステイン(指弾きによる通常のピッキング)
- ミュート(タイトな減衰音)
- スラップ(ロカビリーやオールドロックで重宝する打撃音)
- ナチュラルハーモニクス
- スライドイン / スライドアウト
- レガートスライド(音程間を滑らかにつなぐ奏法)
特にスライドやポジション移動に伴うフィンガーノイズの自然さは秀逸で、ベロシティやノートの重ね方に応じて、まるで人間が手元で弦を押さえ替えているかのような滑らかなレガート演奏が可能です。
3. フレットレス特有のピッチゆらぎを再現する機能
ウッドベースは基本的にフレットがない楽器のため、演奏者の指の微妙な位置のズレや、意図的なビブラートが独特の味になります。
ABUにはピッチのゆらぎや指板上のニュアンスを微細にシミュレートするアルゴリズムが組み込まれており、機械的になりがちなMIDIデータに人間味のある揺らぎを自然に与えることができます。
4. 直感的なパターン作成を支援する「Riffer」機能
Ample Sound製品共通の強力なツール「Riffer」がABUにも搭載されています。
プラグイン内でベースラインのパターンを視覚的に作成・編集できるピアノロールのような機能です。
ベロシティやアーティキュレーションを細かく設定したグルーヴパターンを直感的に組むことができ、完成したフレーズはDAWのトラックへ直接ドラッグ&ドロップしてMIDIデータとして書き出すことも可能です。
ウォーキングベースラインのアイデア出しなどにも大いに役立ちます。
AMPLE BASS UPRIGHTが活躍する音楽ジャンル
その豊かな響きと柔軟な音作りによって、ABUは幅広いジャンルで活躍します。
ジャズ・ボサノバ:
王道のウォーキングベースや、柔らかなアルペジオに最適です。
アンビエントマイクの成分を少し多めに混ぜることで、小編成のトリオでも空間に美しく溶け込みます。
アコースティックポップス・フォーク:
アコースティックギターやピアノを中心としたボーカル曲において、エレキベースよりも角の取れた、包み込むような低音を提供します。
ローファイ・ヒップホップ(Lo-Fi Hip Hop) / ネオソウル:
あえて生々しいウッドベースのサンプルをループさせるようなトラックメイキングにも適しています。
ピックアップ音を中心にローをブーストすることで、抜けが良く太いローエンドを作ることができます。
導入時のチェックポイント
魅力の多い音源ですが、導入にあたっていくつか留意しておきたい点もあります。
まず、高品位なマルチマイクサンプルを多数収録しているため、一般的なシンセベースに比べるとストレージ容量(数GB程度)とメモリをそれなりに消費します。
SSDなどの高速ストレージにライブラリを配置することが推奨されます。
また、アルコ(弓弾き)のサンプルは含まれておらず、ピチカート(指弾き・スラップ)に特化した設計となっています。
クラシックのオーケストラやシネマティック用途で長いボウイング奏法を求めている場合は注意が必要です。
指弾きの本格的なベースラインを求める用途においてこそ、真価を発揮する音源と言えます。
まとめ
Ample SoundのAMPLE BASS UPRIGHTは、ウッドベース特有の「深く温かい胴鳴り」と「生々しい演奏フィール」を高次元で両立させたアコースティックベース専用音源です。
マイクとピックアップのバランス調整による多彩な音色づくりや、細やかなアーティキュレーションによって、打ち込みであることを忘れさせるリアルな低音を手軽に楽曲へ取り入れることができます。
楽曲のボトムエンドにオーガニックな温もりや本物の響きを加えたいクリエイターは、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

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